【企業様向け】試験運営の会場選びと感染症対策について解説
試験を運営するにあたって重要な要素の一つに「会場選び」があります。試験に適した会場選定は、試験のスムーズな運営や受験者の負担軽減に欠かせません。また近年、感染症が流行している中での試験の実施は、受験者数による会場の規模の変更、受験者の動線確認、会場内の感染症対策などさまざまな対応が必要になり、会場選びに苦戦している担当者様も少なくないと思います。
本記事では、試験を運営する際の試験会場選定におけるポイントや感染症対策としてするべきことなどをご紹介します。
目次[非表示]
運営側の試験会場選定における確認ポイント
試験を運営する側にとっての会場選びのポイントは、主に以下の6つのことが挙げられます。それぞれについて確認し、なるべく以下にあげる内容に当てはまる会場を選びましょう。
1.必要な備品の有無
受験者数が多く、広い会場が必要な場合、試験官の指示を全体に周知するためマイクやスピーカー等の音響設備が必要になります。また、試験時間や注意事項、問題文の訂正箇所など全体へのアナウンスを掲示するためには、黒板やホワイトボードも必要です。また、多くの場合試験時間は試験官の時計に合わせるため必ずしも必要とは言えませんが、時計などが会場内に設置されていると受験者にとって便利です。スムーズな進行を行うために、より備品が充実した会場を選びましょう。
2.会場提供者からのサポート有無や範囲
試験会場によって、サポートの有無やその範囲が異なります。事前に打ち合わせ等で場所提供のみであるのか、事前準備や当日のサポートがあるのかを確認しましょう。試験の前日・当日は、机や椅子の配置、受験者の案内、消毒、換気などやるべきことが多いため、なるべく会場スタッフのサポートを受けられる試験会場を選びましょう。そうすることで運営スタッフ一人ひとりの負担が減り、運営側のミスによるイレギュラーなどを防ぐことにつながります。
3.トイレやエスカレーター、防音等の設備
受験者が多い場合や試験会場が上層階になる場合、会場内のトイレの数、エスカレーターの数の確認が必要です。トイレ・エスカレーターの数が受験者数に対して少ない場合、試験時間に間に合わない人や休憩時間中にトイレに行けない人が出てきてしまう可能性があります。また、周辺で工事やイベントなどにより騒音が発生する可能がある場合は、会場の防音設備についても確認を行いましょう。受験者が集中できる環境を整えスムーズな進行を行うために、会場内の設備についてそれぞれの設備の有無や数が十分であるか確認することが大切です。
4.立地や会場周辺の状況
駅から会場までのアクセスについて、徒歩何分かかるのか、バスに乗る必要がある場合にはバスの本数などを確認しましょう。また、試験に昼食休憩がある場合は、受験者が試験会場の近隣で昼食を購入できる場所はあるのか、会場周辺の施設や飲食店の有無などについて確認しましょう。周辺に売店や食事処が無い場合や会場までの交通手段が限られている場合は、事前に周知をすることが大切です。
5.収容人数
会場の収容人数について何人収容可能であるか、机や椅子の数が足りるかなどを確認し、受験者全員を適度な間隔をあけて配置できる会場を選びましょう。例えば、会場の収容人数が100人と書いてあっても試験を行う場合、カンニング等の防止のため隣の人との間隔を一席分空けるといったことが必要になります。そのため、試験会場として使用する場合においての収容人数を確認することが大切です。
6.会場内のレイアウトが変更可否
会場内のレイアウトについて机や椅子の移動は可能であるか、看板やポスターの設置は可能かなどを確認しましょう。実技試験が行われる場合や元々のレイアウトを実施する試験のために変更しないければならない場合、机や椅子の移動が必要になります。また、受験番号ごとに部屋を分ける場合や当日のスケジュールを周知する場合に案内の看板やポスターが必要になります。そのため、施設の管理者にレイアウト変更の可否や、可能な場合、その変更範囲について確認することが大切です。
試験運営における感染症対策
試験運営において、受験者が安心して試験を受けるために感染症拡大防止のガイドラインを守ることが求められます。ガイドラインは、「技能検定実施に関するガイドライン」や「入学者選抜に係る試験実施のガイドライン」など試験の種類によって異なるため、実施する試験内容に適したガイドラインを必ず確認しましょう。本記事では、2021年6月7日に改訂された「民間検定試験等の実施における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」の内容を一部ご紹介します。
発生源対策
感染症拡大の発生源となる感染症罹患者を他の受験者となるべく接触させないように、前日・当日・発生時のそれぞれの状況における対策をご紹介します。
前日までの対策
前日までの対策として、以下の内容に当てはまる人は受験を遠慮していただくよう、事前に周知することが大切です。
・発熱、咳、咽頭痛等の症状がある場合 |
当日の対策
当日は、試験会場において検温を実施し、発熱がある人・平熱を超える発熱や軽度であっても咳などの症状がある場合は、受験取りやめの案内を行う必要があります。
その場合、払い戻し措置等を規定しておくことが求められます。
発症時の対策
当日、試験実施中に発熱等の発症者が出た場合に備えて、以下の対策を行うことが必要です。
・あらかじめ所轄の保健所との連絡体制を整えておく |
感染経路対策
くしゃみや咳などによる飛沫感染と接触感染を防ぐため、咳エチケットやマスク着用、手洗い、消毒液の設置を行うだけでなく以下の感染予防対策も求められます。
集団感染対策
集団感染を防ぐため、「3 つの密」①密閉空間(換気の悪い密閉空間)、②密集場所(多くの人が密集している場 所)、③密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる場面)が生じないようにしなければいけません。感染拡大防止のため、以下の対策を徹底しましょう。
試験会場の収容率
ガイドラインに示された感染症拡大防止の対策が主催者・施設管理者双方において徹底されている場合、以下の表の目安に従って試験を実施できます。
収容率 |
人数上限 |
|
緊急事態措置区域 |
50% |
5,000人 |
まん延防止等重点措置 |
100%以内 (大声なし) |
5,000人 |
緊急事態宣言及び まん延防止等重点措置解除後の経過措置 (約1か月) |
100%以内 |
5,000 人または |
その他都道府県 |
100%以内 |
5,000 人または |
※2021/9/28以降の規定
試験運営関係者に対する感染症対策
試験運営の関係者は、感染防止のため以下の対策を講じ、周知を徹底する必要があります。
・受検者に対して大きな声で指示を出す際は、受検者と2mの距離を保つ
・不織布マスクを隙間なく着用し、受検者にも正しいマスクの着用を促す ・試験申込時等において、受検者の連絡先を把握する ・受検者の健康管理や発熱・咳等の症状があった場合の具体的な対応を周知する ・試験運営関係者に発熱・咳等の症状があった場合は、別室に隔離して試験運営業務を 中止して帰宅させ、部屋の換気を行うとともに、代わりのスタッフがその業務を行える よう準備する ・密集が発生しないよう、受検者に適切な間隔の確保を促す ・試験問題など資料配布の際は受検者と直接接触しないように注意する |
まとめ
スムーズな試験運営と受験者にとって集中できる環境づくりのためには、適切な試験会場を選ぶことが大切です。本記事でご紹介した会場に関する確認事項をぜひ参考にしていただきながら、会場の貸し出し業者との綿密な打ち合わせを行いましょう。
また、近年の感染症流行によって試験運営者には感染防止対策としてさまざまな配慮や準備が求められています。試験実施による集団感染が発生しないように試験運営者として何をするべきか理解し、受験者が安心して試験を受けられる運営を心がけましょう。
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参考文献