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労働契約申込みみなし制度とは?制度が適用されることで生じる義務について解説

はじめに

2015年に行われた労働者派遣法の改正によって、違法な派遣の抑止や派遣労働者の雇用の安定のため、労働契約申込みみなし制度が新たに加わりました。これにより、違法な派遣であることを知りつつ派遣労働者を受け入れた派遣先には新たな義務が生じることになりました。

本記事では、労働契約申込みみなし制度について対象となる違法な派遣や制度が適用された場合に派遣先がするべきこと、制度が適用される期間などについてご紹介します。


目次[非表示]

  1. はじめに
  2. 労働契約申込みみなし制度とは?
    1. 派遣労働者による労働契約承諾の起算日
    2. 派遣先による申込みの撤回・失効日
  3. 対象となる違法な派遣
    1. 派遣労働者を禁止業務に従事させる
    2. 無許可事業主から派遣労働者を受け入れる
    3. 事業所単位・個人単位の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れる
    4. 偽装請負等を行う
  4. 派遣先への影響
    1. 直接雇用義務が生じる
    2. 直接雇用による人件費増加
  5. まとめ


労働契約申込みみなし制度とは?

労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が違法な派遣を受け入れた場合、違法な派遣が行われたその時点で派遣先が派遣労働者に対して派遣元事業主と同じ労働条件の労働契約(直接雇用)を申し込んだとみなす制度です。

しかし、派遣先が以下の事項の両方に当てはまる場合はこの制度が適用されません。

・違法な派遣であることを知らなかった場合
・知らなかったことに過失がない場合


派遣労働者による労働契約承諾の起算日

派遣先が行なったと見なされる労働契約の申込みに対して、派遣労働者が承諾をしたい場合は違法な派遣が行われた日から1年の間に承諾の意思表示をする必要があります。労働契約の申込みは、違法な派遣が行われた時点(日ごと)に行われているとされるので、1年間の起算日は違法な派遣が行われた日ごとに起算日となります。


例えば、8/1、8/2に違法な派遣が行われ、その時の労働条件は8/1は時給1100円、8/2は時給1500円であったとします。時給1500円の労働契約に承諾したい場合は8/2から1年間の間に承諾をする必要があり、時給1100円の労働契約に承諾したい場合は8/1から1年間の間に承諾をする必要があります。日ごとに起算日となるため、どの労働契約を承諾するかを労働者は選ぶことが可能です



派遣先による申込みの撤回・失効日

派遣先は、労働契約を申し込んだ日(違法な派遣が行われた日)から1年間は申込みを撤回することができません

また、違法な派遣が行われてから1年の間に派遣労働者から労働契約の申込みに対して「承諾」・「不承諾」の意思表示がなされなかった場合、労働契約の申込みは失効することになります。


対象となる違法な派遣

労働契約申込みみなし制度の対象となる(労働契約を申し込んだとみなされる)派遣先の違法な派遣は主に4つあります。それぞれについてどのような派遣か詳しくご紹介します。


派遣労働者を禁止業務に従事させる

1つ目は、派遣先が派遣労働者を以下の禁止業務に従事させた場合です。

・港湾運送業務
・建設業務
・警備業務
・病院等における医療関連業務(*)

(*)紹介予定派遣の場合や産前産後休業・育児休業・介護休業等を取得する労働者の代替の場合などは派遣可能です。


無許可事業主から派遣労働者を受け入れる

2つ目は、無許可事業主から労働者派遣を受けた場合です。全ての許可事業主は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」に掲載されており、掲載されていない事業主は無許可事業主となります。派遣を依頼する事業者がきちんと許可を受けた事業者か、契約の前に一度確認してみると良いでしょう。


事業所単位・個人単位の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れる

3つ目は、事業所単位・個人単位の期間制限に違反して派遣労働者を受け入れた場合です。事業所単位・個人単位の期間制限とは、事業所及び個人における派遣可能期間(最大3年)のことです。詳しくは以下「3年ルールとは?」の記事をご覧ください。

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偽装請負等を行う

4つ目は、労働基準法等の適用を免れる目的で、請負契約等を締結し実際には労働者派遣を受けた場合(偽装請負等を行った場合)です。法の適用を免れる目的がなかった場合、偽装請負であると認識した時点から労働契約申込みみなし制度の対象となります。偽装請負について詳しくは以下の記事をご覧ください。

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派遣先への影響

労働契約申込みみなし制度によって、派遣先が派遣労働者に労働契約を申し込んだとみなされた場合(制度が適用された場合)、派遣先にとってどのような影響が生じるのかご紹介します。


直接雇用義務が生じる

派遣先が申し込んだとされる労働契約に対して派遣労働者が承諾をした場合、派遣先は派遣労働者を直接雇用する義務が生じ、派遣先は拒むことができません。これにより、派遣労働者の雇用主は派遣元から派遣先となります。


直接雇用による人件費増加

派遣労働者が派遣先の労働契約に承諾し直接雇用の関係になると、派遣先はこれまで派遣元が負担していた保険料などを支払わないといけません。また、労働契約など手続きに関わる負担や人件費の増額が生じます。


まとめ

労働契約申込みみなし制度は派遣労働者の利益や雇用の安定を守るための制度です。しかし、該当の違法な派遣を行った場合、派遣労働者だけでなく派遣先にとっても経済的な負担や義務などが生じてしまいます。そのため、どのような派遣が違法となるかをしっかりと理解し、派遣を利用する際はいつの間にか違法な状態となっていないか定期的な確認を行いましょう。


参考文献

厚生労働省「労働契約申込みみなし制度の概要」

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