【2022年4月スタート】 育児・介護休業法の改正ポイントと必要な対応とは?
出産・育児による従業員の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児、介護を両立できるようにするため、2021年に大きく改正された育児・介護休業法。
その内容が2022年4月から段階的に施行されていきます。
今回は、法改正によってどのようなポイントが変更になるのか、また企業がすべき対応について解説します。
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育児・介護休業法改正の背景
男女がともに希望に応じて育児と仕事を両立できるよう施行された育児・介護休業法ですが、なかなかその実現は叶えられていません。
厚生労働省の公開している資料によると、第1子の出産・育児により退職した女性の割合は55%、退職理由として「仕事と育児の両立が難しくて辞めた」と回答した人が40%と最も多い結果となっています。
また、正社員の男性を対象とした調査では、育児休業制度を利用したかったができなかった、あるいはしなかった男性の割合は37.5%と約4割の男性が育児休業取得を希望していたにもかかわらずその制度を利用できていない状態です。
こうした現状を改善し、男女問わずワーク・ライフ・バランスの取れた働き方ができる環境を実現していくため、今回の改正が決定されました。
育児・介護休業法の改正ポイントとスケジュール
今回の改正は、「産後パパ育休」の創設をはじめとした育児休業の取得しやすい環境の整備に重点を置いたものとなっており、2022年4月より段階的に施行されます。
施行日 |
改正内容 |
---|---|
2022年4月1日 |
育児休業を取得しやすい環境整備、個別の周知、取得意向確認の義務化 |
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 | |
2022年10月1日 |
産後パパ育休の新設 |
育児休業の分割取得 | |
2023年4月1日 |
育児休業の取得状況の公表義務化 |
①育児休業を取得しやすい環境の整備、個別の周知、取得意向確認の義務化
■育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育休や、産後パパ育休を取得しやすい雇用環境を整備するため、事業主には以下の措置が義務付けられました。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施 ② 相談窓口を設置するなどの育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備 ③ 自社での育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供 ④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知 |
■育児休業制度の周知・取得意向の確認
事業主は、妊娠・出産の申し出をした労働者に対して、育児休業制度に関する周知と休業を取得するかの意向を個別に確認する必要があります。
【周知事項】
【個別周知・確認方法】
・面談 (オンラインも可) ・書面交付 【労働者が希望した場合のみ】 ・FAX ・電子メール |
②有期雇用労働者の育児休業取得要件の緩和
契約社員、派遣社員といった有期雇用労働者に対して、育児休業の取得要件が緩和されます。
これまでの「雇用継続期間が1年以上」という要件が撤廃され、雇用期間に関わらず取得が可能になりました。
■育児・介護休業の取得要件 ・雇用継続期間が1年以上:撤廃 |
③『産後パパ育休』の新設
従来の育休とは別に、男性を対象とした新たな育休制度が新設されます。 今回の改正で分割しての取得が可能となった従来の育休と同様に分割しての取得が可能で、従来の育休との併用も可能です。
子の出生後8週間以内に4週間まで、2回まで分割して取得できます。
また、事前に調整すれば休業中に就業も可能となっており、より柔軟な育休取得が期待されています。
④育児休業の分割取得
夫婦ともに2回まで分割取得が可能になります。 また、1歳以降に延長の場合でも開始日が柔軟化されるため、各期間途中でも夫婦交代で取得できるようになります。
⑤育児休業の取得状況の公表義務化
これまでは「プラチナくるみん」の認定を受けた企業のみ公表が義務付けられていましたが、 従業員が1,000人を超える事業所に公表が義務づけられることになりました。
■公表内容 ・男性の育児休業取得率 ・育児休業等の育児目的休暇の取得率 |
企業が対応すべきポイント
男女問わず育児・介護休業が取得しやすい環境の整備に向けて、まずは自社の就業規則を見直し、育児・介護休業の取得対象となる労働者の条件を確認しましょう。 また、あわせて研修や制度の周知を徹底し、当事者だけでなく周囲の理解を深めていくことも重要です。特に研修に関しては、少なくとも管理職以上は必ず受講しておきましょう。
今回は育児介護休業法に加え、保険料の取り扱いに関しても一部変更が見られるため、人事・労務部門の担当者の負担増加が考えられます。 厚生労働省でもさまざまな資料が公開されているので、活用しながら環境整備を進めていただければと思います。
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